週刊わやソング2000.10.20号 前号へ 次号へ バックナンバーへ
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「起こってからでは遅いのだ」 1991.4 MP3で聴けます
この国は一応はとても豊かで 人々は生活に満足している
どんなに馬鹿なことを口走る政治家も 選挙ではたくさんの支持を集めて勝つのだろう
もしも僕がまだまだ世間知らずの若造で
政治や民主主義を「歌うな!」と言われても
起こってからでは遅いのだ 今 歌う 自分の言葉で
この川は今のところ とても清らかで 美しい流れには生命(いのち)があふれている
建設が進んでいる河口堰ができると 魚たちは死に絶え 洪水の危険も増すだろう
もしも僕がただの身勝手なよそ者で
治水や自然保護を「歌うな!」と言われても
起こってからでは遅いのだ 今 歌う 自分の言葉で
人間は器用で とても頭が良くて 便利な道具や薬を作り出した
それは人間同志が殺し合う武器となり 愛するもののために 使われてしまうだろう
もしも僕が戦争を知らずに育った子供で
平和を 戦争反対を「歌うな!」と言われても
起こってからでは遅いのだ 今 歌う 自分の言葉で
この星は大きいけれど限りがあるもので 人間の欲望を全て許せるわけはない
例えば原子力は安全だと鵜呑みにしないで 知らなければいけないことは山ほどあるのだから
もしも僕が便利な暮らしに慣れた文明人で
エネルギ−や環境破壊を「歌うな!」と言われても
起こってからでは遅いのだ 今 歌う 自分の言葉で
今 歌う 自分の言葉で
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「平和のつどい」という企画で歌う機会をいただいた。ボク個人ではなくフォークグループ「そろりん(うひょ&もりま&わや)」での出演である。企画のテーマ・主催者の狙い・参加者の期待などを考えれば、「平和」・「反核」をうたった曲を中心に選曲するべきだろうとも思ったが、学生時代のサークルの先輩TAKUさんが作った「DOME(ドーム)」という名曲をメンバーのオリジナルではないが歌うことにした他には、あえて直接的な曲は入れなかった。ボクのレパートリーからは、いつも通り、子育て・動物・ことわざ等の受け狙いの歌を選んだ。聴いてくれる人に楽しんでいってもらいたいという気持ちからだが、そういう歌を作ったり歌えたりすることは平和だからこそできる、という意味付けもある。結果的には喜んでもらえたと思う。しかし、正直に言ってボクには「平和」を正面から取り上げて歌うのはいささか荷が重いのだ。作ろうとしても、体験・知識・感性が不足していることを痛切に感じてしまうのだ。
などと言い逃れをしながらも、実はボクの歌には結構社会問題を取り上げた歌も多い。むしろ、積極的に歌わなければという気持ちさえあるのだ。当たり障りのない歌を歌うのは簡単だが、「こうあるべきだ」とか「それは間違っている」というような主張が入った歌を歌うことは難しい。聴く人が異なる主張を持っているかもしれないからだ。違う立場にあるかもしれないからだ。
それでも作り、歌う。今、ボクがこう考えているということを残すために。
「起こってからでは遅いのだ」は、社会問題を取り上げて歌う、その歌うこと自体をテーマにしている。長良川の河口堰はできてしまった。賛否両論があることは知っている。ボクは何もしなかった。この歌で取り上げただけだった。そして、タイトルに反してボクは気付いている。「今からでも決して遅くはない」こともあるんだってことに。