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一福 −子連れ編−        2003.5    
                 
MP3で現地録音版を聴けます

ボクが生まれるずっとずっと前から このお店はあったんだね
ボクが生まれるずっとずっと前から お父さんはこの店に来てたんだね
 
 地下鉄降りて歩いて行くと 赤提灯が見えてきて
 店の前までくると賑やかな笑い声が漏れている
 引き戸を引いて暖簾から顔を出すと
 「あらいらっしゃいませ」と、おかあちゃんが迎えてくれるんだ
    
    みんな楽しそうに話してる ビールを美味しそうに飲んでいる
    注文に「あいよ」と答えながら おかあちゃんが忙しそうに働いている 

ボクがまだ小さな赤ちゃんの頃から このお店につれてきてもらってたね
ボクがまだ小さな赤ちゃんの頃から お父さんはこの店を見せたかったんだね

 ボクのためにはオレンジジュース ラーメンはまだ食べちゃダメ?
 ビールをつぐのはボクに任せて ゴメン、アワだけになっちゃった
 さすがに退屈して暇そうな顔をしていたら
 「絵を描くのが好きだったよね」と紙と鉛筆をくれたんだ

    みんな楽しそうに話してる ビールを美味しそうに飲んでいる
    注文に「あいよ」と答えながら おかあちゃんが忙しそうに働いている 

ボクが大きくなって二十歳を過ぎる頃には この店にまた来たいよね
ボクが大きくなって二十歳を過ぎる頃には お父さんとビールを飲み交わせるよね

 ボクの話をみんな嬉しそうにうなずいて聞いていた
 いつまでも元気なおかあちゃんに会えるといいよね
 それからお父さんはちょっと難しそうな顔をして
 人生は出会いと別れだとかなんとか話し始めたんだ

    みんな楽しそうに話してる ビールを美味しそうに飲んでいる
    注文に「あいよ」と答えながら おかあちゃんが忙しそうに働いている

ボクが生まれるずっとずっと前から このお店はあったんだね
ボクが生まれるずっとずっと前から お父さんはこの店が好きだったんだね


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 「青春編」というサブタイトルが付いている「一福」という歌があります。学生時代に数々の思い出を残した「一福」を、社会人になってからの想いも織り込んだ名曲ですが、そのうち続編ができるはずと、予告してありました。それがとうとう完成したのがこの「子連れ編」。歌ができるきっかけが、もうすぐ閉店してしまう、という話を聞いたから、というのは寂しいのですが、閉店前にこの歌を残せたことはボクにとっては幸いでした。我ながらいい曲に仕上がりました。前作にはなかった「おかあちゃん」というテーマを入れられたのも良かったし。そして何より、この内容の歌を作って歌うのは自分しかいないという自負があるのです。息子二人は詞にあるように赤ちゃんの頃から連れて行っていたのですっかり常連です。語り口は息子の言葉ですが、もちろんボクが思っていて、息子に伝えたい言葉になっています。けっこう伝わっているとも思えるのです。

これが一福の赤提灯です。

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