ライン

週刊わやソング

2013. 2. 27号


特集:最長『自転車と僕と』に歌詞を追加


ボクのレパートリーの中では最長だった『自転車と僕と』。
もともと長かったのを、
歌詞を追加して15分くらいになって、
その時に週刊わやソングに特集してる。

2005.10.16号特集:自転車と僕と

それが、また長くなった。

19分かかるらしい。

もともと、幼少期からの自転車にまつわる体験を散文的に連ねてて、
歌詞の最後が 「この歌はもっと長くなるだろう」となっているので、
新しい自転車を買ったら歌詞が出来て
どんどん長くなるのは宿命的な歌なのだが。

先回は、単に歌詞を追加しただけでなく、
途中にエピソードを挿入したり、
表現を直したりもしたので、
対比が面白かったのだけど、
今回は純粋に追加しただけなので、
そこを紹介と行こう。


撮影:小池くん 浜名湖自転車道にて

「肉体再生日記」や「緑色が好き」や 「うたネタ日記」でご存知のように、
去年の夏にロードバイクを買って、
事故や再発注を経て、
ゆるゆる楽しむ生活になっている。

では、歌詞を紹介しよう。
赤い文字が追加した部分です。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

自転車と僕と

詩・曲わや

1998.9.28作 2005.10.14改 2013.2.14追加


始まりは幼稚園児の頃 最初に乗ったのは子供用自転車
 しっかり補助輪が付いていた 走った記憶は遠くかすんでる
小学校1年生のとき サドルの取れた大人用を拾い
 何度も転びながら練習して 三角乗りをマスターした
その後姉貴との共有ってことで ミニサイクルを買ってもらった
譲り合い使いなさいって言われたけど 奪い合って負けていた

僕は自転車を覚え自分の足にした 幼いなりに生きていた 育っていた

6年生になってどうしても 自分専用のが欲しくなった
新聞のチラシで安売りを見つけ20km離れた町で買って乗って帰った
学校対抗の自転車コンテストなぜか僕が代表に選ばれた
転校してきて馴染めてなかった僕を 先生が気遣ってくれたんだ
一本橋やクランクや手信号 実技の練習は楽しかった
 ずいぶん練習して挑んだ本番は雨が降って筆記試験だけで終わった
     
僕は自転車に乗って いろんな技を覚えた
勉強した交通ルールは 原付免許で役立った

中学は自転車通学禁止だった みんな実はこっそり乗って行ってた
先生に聞かれて正直に答えたら 僕だけしかられて悔しかった
高校は通学用の自転車で毎日遅刻坂を登った
 片想いの女の子を追い抜くときは力いっぱい立ちこぎでダッシュした
隣の県でインターハイがあった 悪友とバスケの試合を観に行った
 一泊二日の旅はトラブル続き パンクの修理が上手になった

僕は自転車に乗って遠くまで走った 広がった世界を見ていた 感じていた

大学は故郷を離れ海を渡り名古屋の街に一人暮しを始めた
 新しい町を探検気分で走った ケッタマシーンという呼び方を覚えた
先輩にスクーターをもらったのでとりあえず原付免許を取った
ギターケースをステップに載せて走った しばらくは自転車を忘れていた
暇に任せ一輪車を練習した 始めは全く乗れそうもなかった
  やっとコツをつかんだときは嬉しかった 自転車に乗れたときを思い出した

僕は自転車に乗ってどこにでも行けた 走りながら歌を歌った 口笛を吹いた

同郷のサークルの後輩からキャンピング用の自転車を買った
 寝袋と着替えを積んで野宿旅ふくらはぎまで日焼けした
四国への帰省も自転車を使った フェリーにも渡し舟にも乗せた
 朝のラッシュ時の国道2号線 車に当てられ一瞬時が止まった
顔にケガをして実家に逆戻り 自転車はやめろと親に言われたけど
 愛車は修理して甦り その後も旅を供にした

僕は自転車でさらに遠くまで走った 走りながら思いをめぐらせた 夢を見ていた

会社に就職して嫌だったのは朝の満員の地下鉄での通勤 
一度自転車で行ったらやめられなくなった雨の日は例外だけれど
まだそんなに 流行ってはなかった頃マウンテンバイクに乗り始めた
通勤にキャンプにツーリングにヘルメットは必ず被るようにした
お買い物用にママチャリも持っていた 何度か盗まれたりもした
 マウンテンバイクが盗まれたときは 悔しくてしばらく探しまわった

僕は自転車に乗って毎日生活していた
 自転車に乗らない日はなかった 今よりずっと痩せていた

結婚したり住むところが変わったり子供ができたり勤め先を変わったり
乗っている自転車も変わったけど 変わらないのは緑色だってこと
2代目のマウンテンバイクも緑色 だけど買ったときは違う色だった
 すぐに緑色に塗り替えた 世界にひとつだけの自転車になった
パーツを取り替えるタイミングで 何度か違う緑に塗りなおした
 カタログを見て気にいった色を選んだ 色だけのビアンキもどきになってしまった

僕は自転車に乗ってレースに出たりもした 体力には自信があった 決して速くはなかったけど

どうして転んだのかはよく覚えていない 気がついたら地面にたたきつけられていた
帰宅途中の大きな交差点の手前 神に誓ってお酒は飲んでいなかった
学生時代の事故で怪我をした鼻の下 あのときはボクは交通事故の被害者だった
傷跡はケロイド状に残ってしまったけど 貰った慰謝料はとてもありがたかった
今回は仕事帰りだから労災になった なのでまた治療費は心配しなくてすんだ
なぜか前と同じところをケガした 前の傷跡がきれいになくなる傷になった

僕は自転車でこけて危険な乗り物だと知った
 ヘルメットは割れてしまっていた  被ってなければ多分死んでいた

自転車通勤はたまにしかしなくなった 理由のひとつは事故が怖くなったからだけど
駐車場を借りて始めた車通勤 いったん慣れるともうやめられないのだった
ビアンキカラーの愛車はガタがきていた そろそろ引退させることにした
 さんざ迷ったあげくに選んだ新車は 色が決め手のビアンキだった
飲み会の日は自転車で通勤する 帰りは地下鉄とタクシーで午前様
 次の日には車に積んで帰る 片道だけの自転車通勤だった

僕は自転車に乗ってこれまで生きてきた
これからもきっと乗りつづけるだろう この歌は死ぬまで続くだろう

ロードバイクを楽しむ友人がいた そして、そんな友人たちが増えていた
ボクも興味はあったのだけど 事故のキオクもあって尻込みしていた
だけどだんだんウズウズしていた そのうちどうしても欲しくなった
もちろん買うなら緑色にしたいけど 何故かロードには緑色はないのだった
ショップをハシゴしても見つからなくて 諦めかけていた時とうとう見つけた
それはアンカーというブランドのカラーオーダー 選べるパーツはすべて緑色にした

ボクは清水の舞台から飛び降りて 高いカーボンフレームを選んだ
フロントフォークを緑色にするために 予算オーバーよりも色を優先した

納車までの一月半は長かった 待ちきれなくてショップを覗いたりもした
そして待ちに待った出会いの瞬間 イメージ通りの色に仕上がっていた
平日だったのでその日はほんの少し 次の日も近所を回るだけだった
そして3日目ちょっと遠出をしようとして そのカナシイ事故は起きたのだった
交差点を青信号で直進していた ボクの目に対向の右折車が飛び込んできた
運転手が携帯をしているのが見えた 避ける間も無い正面衝突だった

ボクは地面に投げ出された 幸い骨折などの大怪我はしなかった
衝撃は自転車がすべてかぶっていた フロントフォークが無残に折れていた

罪を憎んで人を憎まずという ボクは謝る加害者に冷静だった
擦り傷や打撲の怪我はそのうち治るし 自転車はまた注文すれば良いのだ
また一ヶ月以上待つことになった この夏は終わったけどまた夏は来る
今度はもっと慎重になろう 走れないからこそわかる走れる喜び
友人たちと一緒の見習いツーリング 一人で峠を越えるロングツーリング
逆風や上り坂はキツイけど それも楽しいと思えるくらいだった

ボクはロードバイクに慣れて 手放し運転も楽に出来るくらいになった
毎週乗るというわけにはいかないけど 置いてあるのを見るだけでも幸せだった


僕は自転車に乗ってこれまで生きてきた 
これからもきっと乗りつづけるだろう この歌はもっと長くなるだろう


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