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週刊わやソング

2004.3.28号

特集:新曲『散髪と父と息子と』


ボクは自分の人生を振り返るのが好きなのかもしれない。
これまでも「折りたたみ椅子」や「自転車」や「自動車運転免許」といった
「物」を通して我が人生を語ってきた。
歌にすると長くなるんだこれが。
「週刊わやソング」でも長い歌特集で取り上げてるよね。

「物」に象徴することができない体験ももちろんあって、
「オリジナルダイエット法」や「鳩に巣を作られた体験」、
「卒業論文を書く体験」など、これらも長い歌になるのだ。

そんな思い出語りソングの一つ、といってしまうには惜しい
「親離れ子離れソング」という新しいカテゴリーの歌ができたのだ。
広くとらえると「子育てソング」に入るかもしれないけどね。

「散髪」という誰でもやってることを通して、
ボクが子供の頃の「親離れ」、そして親になったボクの「子離れ」を歌い上げているのだ。

フルコーラスだと8分45秒もかかってしまうので
音源公開はとりあえず3番だけにしておくのだった。

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散髪と父と息子と

       2004.2      
MP3はアランプーサンライブ録音3番のみ

父ちゃんの車に乗せられて行った 小さな町の古ぼけた散髪屋
お爺さんが一人でやってる店だった お客はいつもボク達だけだった
父ちゃんの古い知り合いらしかった 思い出話で会話は弾んでいた
ボクは話に加われず退屈していた 子供向けのマンガも置いてなかったし

いつからか友達と行くようになった お小遣いとは別に千円もらった
マンガを読むのが楽しみだった 一人でも行けるようになった
中学校は男子は丸刈りと決まっていた バリカンで一気に5分刈りになった
鏡で見た自分の顔はとてもおかしくて これからの3年間を思って落ち込んだ

何もしなくてもひとりでに 髪は伸びてくる
行かずに済めば嬉しいと 面倒がることもある
でもカミソリの毛剃りはけっこう気持ちいい
そしてボクは今月も散髪屋に行くのだ

大学生になって髪を伸ばし始めた 今でいうロンゲになったのだった
トレードマークにいつも帽子をかぶっていた 女の人に間違えられたりもした
そのうち飽きたのでばっさり切った 切ったついでにパーマをかけてみた
美容院に行ってみたこともあったけど 散髪屋の方が性に合っていた

髪は短いほうがいいと思い始めた パーマをかける必要もないと気付いた
行きつけの散髪屋ってのに憧れてたけど 安けりゃどこでもいいやと気付いた
なるべく行く回数を減らそうと思っていた だからなるべく短めに切ってもらっていた
横と後ろはバリカンでいいです鬢は普通に 上と前はそれなりに短くと注文していた

何もしなくても適当に 髪はまとまっている
丸刈りの後遺症か少しだけ 天然パーマがかかっている
どうせバンダナをするから 髪型はどうでもいいい
そしてどうしようもなくなったころ散髪屋に行くのだ

息子の散髪はお母さんが担当していた 危なっかしくてとても見ていられなかった
嫌がる息子をおとなしく座らせておくために ビデオを見せたりいろいろ苦労した
いつの間にか担当はボクに替わっていた 我ながら上手で人からも褒められた
だけど酔っ払ってハサミを持つのは危険だった 自分の手を何度も切ってしまった

小学校に上がるくらいから散髪屋にデビューした じっとしていられるかどうか問題だった
動くなと厳しく言われた散髪屋には もう行きたくないという気持ちはわかるのだった
二人の息子はなぜか髪質がぜんぜん違ってて 長男は固くて次男は柔らかかった
同じように切ってもらってるはずなのに 仕上がりの髪型がすでに違っていた

何も言わないけどそのうちに 息子は父から離れていく
友達と行くようになる 一人で行くようになる
それはボクが子供の頃にそうだったのときっと同じ
そしてボクはまた一人で散髪屋に行くのだ

何も言わないけどそのうちに 息子は父から離れていく
友達と行くようになる 一人で行くようになる
それはボクが子供の頃にそうだったのときっと同じ
そしてボクはまた一人で散髪屋に行くのだ
そしてボクはまた一人で散髪屋に行くのだ
一人で散髪屋に行くのだ


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 歌い終わったときには是非「一人で行けよ」とツッコんで欲しい。
ヒデフミは実際に3月の散髪の際はついてこなかったのだけど、
それは卒業式の写真に短い髪で写りたくなかっただけで、
まだ一人で行くのは不安な様子で、
少し安心したような情けないような複雑な気持ちになったのだった。

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あーっ「わやソングマラソン」すっかり忘れてたー


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